「惑星直列」って何
2020.07.05
 
何年か前もそうでしたが、「惑星直列」が騒がれました。

昨日、アメリカ建国記念日の2020年7月4日も一部で「惑星直列」と騒がれましたし、その一方で惑星直列ではなく「惑星勢ぞろい」だともいわれていました。

ハッキリ書きますが、「惑星直列」など起こることはありません。

惑星の周期を計算すれば、本来、わかるお話なのです。

もっとも、どこからどこまでを「惑星」とするか、また何を「基準」とした直列なのか、さらには「直列」の誤差を何度以内におさめるのか、前提条件が必要です。

天体学では、「太陽」を恒星として、太陽系惑星は、「水星」、「金星」、「地球」、「火星」、「木星」、「土星」、「天王星」、「海王星」の8個です。

一方、“星の配置が地上に影響をもたらす”とする西洋占星術では、「太陽」をふくめて、上述に「月」と「冥王星」を加えて、10個の星をメインとしています。


いくつか説があるのですが、今回、7月4日の「惑星直列」云々のお話は、第一に「月」を除いて「太陽」~「冥王星」までの惑星が、空の180度以内に位置するといった“惑星勢ぞろい”が起きるといったことのようです。

それが、当たり前なのですが黄道上に(一直線に)“並ぶ”といった一種の“惑星勢ぞろい”のお話に、なにをどう勘違いしたのか、尾ひれがついて「惑星直列」などといういつもの“騒ぎ”になったようです。

言葉よりも、実際をいくつかの図でみてみましょう。


まず、「プラネタリウム」のような天体図で示すと下図のようになっています。

【図1】


東京から見た全天で、太陽がのぼる直前であれば「水星」~「冥王星」までずべての惑星が観測できる500年に一度の“天体ショー”だといえます。

ですが、これを「惑星直列」とはいいません。


一方、このときの星の配置を「天の北極」側からみると、下図のようになります。

【図2】



「天王星」と「冥王星」を除けば、こちらはいくらかでも“直列”といえなくもありません。

ですが、これは昨日7月4日にかぎったことではありません。

比較的に動きの早い「水星」と「金星」が、逆行に入ったこともあり、1か月弱ほど続いているのです。

もし、“惑星勢ぞろい”でいえば、昨年2019年12月~今年7月15日頃まで、ときに「月」をふくめて、天空の180度以内に惑星が集まる状態が続いています。


このような配置のまま、これらの星たちは、地球の自転にともなって、毎日、地球を“一周”して見えますので、昼夜となく“惑星の勢ぞろい”は継続し続けています。

そのなかで、昨日7月4日は“理論上”、太陽がのぼる直前に全部の惑星が“夜空”に観察できるというお話と、たぶん、ゴッチャになったものです。

実際は、「太陽」と「水星」の距離が近すぎるので、目視で観測できるわけではありません。

逆にいえば、約12時間前や約12時間後は、東京からみて【図1】とは正反対にすべての惑星が「月」を除いて地球の裏側に隠れてしまうので、惑星が一つも観測できないことになります。


次に、“星の配置が地上に影響をもたらす”として占断やリーディングを行なう「西洋占星術」また「宝瓶宮占星学」のホロスコープ(天球図)からみると、昨日7月4日午前5時の星の配置は、下図のようになります。

【図3】



ホロスコープの上下真ん中は「地平線」を象わしますので、上半球に星が集まっていれば、地上から見えることを意味します。

逆に、下半球に集まっていれば、西の地平線に沈んでしまって見えないか、東の地平線からのぼる前で見えないことを意味します。

地球の自転によって、これを毎日繰り返している昨今です。

比較的動きの早い「水星」や「金星」は、平均して1年で太陽またホロスコープを1周しますので、このような配置は、最長でも半年以上続くことはありません。

「海王星」や「冥王星」の場合、平均すれば1年で2度/360度ほどしか進まないし、太陽からみて“直列”することはありません。

ということで、太陽から遠い星ほど位置が変わるには、かなりの年月を要します。


結局、「惑星直列」は太陽からみても、またホロスコープのように地球からみても、すべての惑星が直列に並ぶということは、その周期の違いから起こることはありません。

「太陽」を含めた惑星たちが、180度以内にまとまって位置する“惑星勢ぞろい”自体は、500年に一度しか起こらないというものでもなく、案外と起きています。

一例をあげますと、1952年5月21日~8月10日までの期間、180度以内に太陽と惑星たちが位置し運行していました。

さらには、翌1953年5月25日からもそうで、とくに同年7月24日~10月3日の2か月間ほどは、今回の一時期と同様にほぼ120度内外に、すべての星たちが集中したことがあるほどです。


まとめますと今回の「惑星直列」騒動は、「天王星」と「海王星」を除いて、冥王星までの星がやや直列的に並ぶというここ1か月間程度の出来事がまずあったようです。

次に、この半年間ほど「月」を除いて(その半分は「月」もふくめて)、すべての惑星が“天の半球側”に集まっているために、理論上、一度に観測できるといったことが、7月4日に限定されたようです。

これらを、ゴッチャにとらえた一部の人が、誤まって「500年に1度の惑星直列」などと、“アクセス数”や“いいね”稼ぎをふくめて、記事やニュースにして広まったのが原因のようです。










コメント一覧
名無し - 2020年07月15日 03:40
アメリカの事ですが、トランプ氏と大統領選挙を争うバイデン氏に認知症の疑いがあるそうです。支持率低下に苦しむトランプ氏の大逆転勝利もありそうですね。
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