火/土/風/水の四大元素説
2022.03.06
火/土/風/水の四大元素説
― 根拠のない疑似科学という迷信 ―
◆「古代ギリシャからあった宝瓶宮時代の呼称」
はっきり書きます。
“風の時代”というのは、占星学にはないウソですよ。
双児宮時代にも天秤宮時代にも該当する“風の時代”という茫漠たる言葉を信じて、今後の「宝瓶宮時代」を生きぬけるとお考えなら、お好きにどうぞ。
紀元前に、ホロスコープ12サイン(宮)の基礎中の基礎「春分点」を規定する「春分点歳差」の発見のときから、宝瓶宮時代という呼び名はあったのです。
そんな基礎を知らない占術師が、“風の時代”を吹聴しているようです。
≪世界宗教以前のお話≫
2,000年以上も前のお話です。
古すぎて、どんな時代なのかピンときにくいかもしれません。
現代から順番にさかのぼって概括してみましょう。
現在の直前、300~400年間ほどは、近現代物理科学(科学万能主義)の時代でした。
宝瓶宮時代の影響圏に入って以降からあたりです。
合理的な科学思考や客観的な知性に人類が目覚めていった時代です。
その前の中世にいたる紀元から1,600~1,700年間ほどは、信仰による宗教の時代でした。
人類歴史をリードしてきた西洋では、古代オリエント(中近東)に発祥したキリスト信仰が、ローマに伝播し国教となっていったキリスト教(ローマン・カトリック)の全盛期です。
2,000年以上前のお話といえば、さらにその前です。
当然、近現代科学が発祥するはるか前で、キリスト教の開祖とされるイエス・キリスト生誕以前です。
東洋ではブッダ(お釈迦さま)が生まれた直後あたりです。そんな古~い時代のことです。
≪ルーラーの時代≫
古代ギリシャ時代の当時に、最先端とされた学問が「四大元素説」です。
古代ギリシャといえば、「哲学」だの「フィロソフィー」(愛智)だのと言われますが、昨今の視点から当時を考えると見込み違いをします。
「占星学的な時代区分」でいえば、当時は双魚宮時代(そうぎょきゅう じだい)の影響圏に入っていたものの、紀元前24世紀あたりから続いていた白羊宮時代(はくようきゅう じだい)の末期でした。
白羊宮時代というのは、牡羊宮に共鳴する時代です。
たとえば、独りよがりにもなりかねない支配者の考えによる「こうあるべき」というルールによる治世の時代でした。
そんなルールを定めて強制したのが、ルーラー(支配者、統治者)こと、戦いに勝った強者だったのです。
現代占星術で、今も使う「支配星」という用語「ルーラー」は、ここからきています。
白羊宮時代末期の古代ギリシャ時代、戦いで勝った「支配者」(統治者)の影響や概念が、まだ色濃く残っていました。
そこで「四大元素説」をもとに発祥した古いアストロロジー(通称:古典占星学)において、星が「ルーラー」だと考えたのです。
≪四大元素説のはじまり≫
白羊宮時代は、戦いで勝った強者の理不尽ともなりかねない思い込みによるルール(今でいう法律)があったようです。
そんな時代に「なぜ?」や「どうして?」また「どうあるべき?」と、正しいルールやあり方を思索し、発展してきたのが、いわゆる哲学やフィロソフィー(愛智)のはじまりだと考えられます。
そういった古代ギリシャ時代が、紀元前2世紀ころまで続きました。
そんなさなか、「そもそもこの世界は、何によってできているのか?」と感がるのは当然でしょう。
そこから、ルールのあるべき姿を見出そうとしたのかもしれません。
いずれにしても、「世界は。火/土/風/水の4つの元素からできている」というのが、当時、最先端とされた古代ギリシャの世界観「四大元素説」でした。
「そんなバカな。物理的にいうなら元素記号1の水素にはじまり、100個以上も元素はある」と現代人ならお思いでしょう。
また、直後にはじまった信仰者の立場からは、次のように唱えるでしょう。
「そんな物質的なお話ではありません。この世を創られたのは神様です。アーメン」
実際、そういった宗教の時代が、世の常識となったのが古代ギリシャ以降、近現代科学発祥以前にあったのです。
≪風の時代という迷信≫
当時、最先端とされ世界に影響を与え、一世を風靡した「四大元素説」も、近年、科学が発達すると、“迷信”とされます。
客観的な実験をともなって、この世界を構成している物理的な元素が、次々と明らかになってきたからです。
それによって、古代ギリシャの「四大元素説」は「疑似科学」とされます。
科学的な事実や現実ではなく、人々に信じられたという点で「疑似科学」は迷信と同様です。
その迷信を、今も真面目に信じて占っている人たちがいます。
12サイン(宮)を「火/土/風/水」の4つのエレメント(要素)に区分して、それぞれに象意をあてています。
そんな迷信信者の中に、“風の時代”などと、ホロスコープの12サイン(宮)の基礎中の基礎を知らずに、吹聴している人がいるようです。
笑ってはいけません。
ご本人たちは大真面目です。
ですが、“風の時代”というなら、双児宮時代(そうじきゅう じだい)も、また天秤宮時代(てんびんきゅう じだい)にも言えますので、混乱が生じてしまいます。
そうではなく、「春分点歳差」が発見された2,000年以上前から、「宝瓶宮時代」という呼称がありました。
≪春分点歳差の発見≫
ご説明いたします。
紀元前2世紀頃のことです。
古代ギリシャの天文学者で数学者のピッパルコス(B.C.190年頃-B.C.120年頃)は、地球の歳差運動から「春分点歳差」を発見しました。
その「春分点歳差」が、黄道を約25,920年(計算値)かけて1周する期間が「プラトン年」(グレート・イヤー)です。
そのプラトン年を12等分した「プラトン月」(グレート・マンス)が、「占星学的な時代区分」になります。
その一つは、次は「宝瓶宮時代」と当時から呼ばれていました。
「宝瓶宮」というのは、水瓶宮の古典的名称です。
「春分点」は、約72年に1度ずつ移動しています。
それにともなって、ホロスコープの12サイン(宮)の位置は、現在も微妙に変わり続けています。
この基礎を押さえていないと、12サイン(宮)の位置を正しく定められません。
12サイン(宮)のご理解、また「ホロスコープ作成ソフト」が、遠い過去や未来にわたって正しくプログラミングされているかどうかを、検証する基礎中の基礎です。
【ご参考】
一般のかたが「宝瓶宮時代」(Aquariun Age:アクエリアン エイジ または Age of Aquarius:エイジ オブ アクエリアス)という言葉を知らなくても、当然です。
人気のトレーディングカードゲームは、「Aquarian Age」(通称:アクエリ)で、綴りは「-an」です。
一方、宝瓶宮時代は「Aquariun Age」で、「-un」です。
いずれも「アクエリアン エイジ」と読むので紛らわしいのですが、「-an」と「-un」」とでは、意味が異なります。
それはともかく、占星師がホロスコープ12サイン(宮)の基礎中の基礎「春分点歳差」を知らないのは、もぐりです。
もっとも、それゆえ“風の時代”などと吹聴して、多くのかたを欺いているのでしょう。
もはや迷信とされた「火/土/風/水」を、いまだに信じて占っているくらい賢いのです。
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