春分点歳差の仕組み
2022.08.11
[奥義講座のための基本の基 #03]― ホロスコープ作成ソフトの根本 ―



地球の首振り運動に伴ない「春分点」は移動している




知らなくても差し支えは少ないのですが、ホロスコープの作成において「春分点歳差」は根本中の根本です。

正確に理解しておかないと「ホロスコープ作成ソフト」のプログラムを正しく組めないからです。

なぜなら、12サイン(宮)は「春分点」を始点に12区分されていて、ややこしいことに「春分点」はわずかずつですが移動しているためです。

これを「春分点歳差」(歳差運動)と言います。

その仕組みをご紹介してまいります。



≪「春分点」は牡羊宮0度≫

ホロスコープは、黄道上の12星座やへびつかい座を入れた13星座ではなく、「春分点」を始点に30度ずつに等分された12サイン(宮)を用います。

「春分点」が12サイン(宮)のはじまりで、牡羊宮0度になっています。

空の星座(Constellation)、おひつじ座やおうし座などの名称のみを、12サイン(Sign=宮)が流用しているだけです。

空の星座というのは、地上からの見た目で、それぞれに距離がまったく異なる星を勝手につなげた想像の産物です。

しかも、人間が創作したギリシャ神話やローマ神話になぞらえて、イメージし命名したものでホロスコープ12サイン(宮)の象意とは関係がありません。

19世紀中ごろに発見された海王星の影響を受けてはじまりはぐまれてきた現代占星術は、海王星の象意に即して“誤解”や“勘違い”また“事実誤認”や“幻想”を、現実や事実かのように信じ込んでしまうケースが多々みられます。


【One Point】 夜空の星座は「Constellation」で、12サイン(宮)は「Sign」です。

Astrologyの内容だと分かっていれば、Signをつけずに表記されることがありますので、誤解も多いのですが、12サイン(宮)は、黄道12星座(Zodiac 12 Constellations)とは名称以外は関係がありません。




≪ホロスコープの春夏秋冬≫

では、「春分点」とは何でしょうか。

太陽が「春分点」を通過していく日が「春分の日」になりますが、地球の公転と自転とによって「春分点」は決まります。

地球が太陽を公転する面、すなわち地球からみれば太陽の通り道「黄道」と、地球の赤道を宇宙に投影した「天の赤道」とが、黄道上で交わる2点のうちの1つが「春分点」です。

もう1つが「秋分点」で、春分点の正反対の位置になります。

12サイン(宮)でいえば「春分点」は牡羊宮0度で、「秋分点」は天秤宮0度にあたります。


【One Point】 当サイトの「今週の運勢」で書いていますように、太陽が牡羊宮に入宮する日が「春分の日」で、太陽が天秤宮に入宮する日が「秋分の日」です。

ちなみに蟹宮に入宮する日が「夏至」で、山羊宮に入宮する日が「冬至」になります。




≪地球の歳差運動≫

「春分点」が動かなければ、お話は簡単です。

ですが、地球の「歳差運動」(首振り運動、すりこぎ運動)に伴なって、約72年に1度ずつ黄道上を太陽の移動方向とは逆向きに移動していきます。

12サイン(宮)を逆順に進むわけです。

たとえば、現在の牡羊宮0度(=魚宮30度)の「春分点」は、約72年前には魚宮29度だった位置にあたります。

そのため「春分点」が、黄道(360度)を1周していく期間は、約25,920年(計算値:72度×360度)になります。

実際はもう少し短いのですが、これを「プラトン年」(グレート・イヤー)と言います。


【One Point】 プラトン年を12等分したものが「プラトン月」(グレート・マンス)です。

約2,160年(計算値:72度×30度)になります。

古代ギリシャ当時の「春分点」は現在、「宝瓶宮29度」付近に進んできていますので、現代は宝瓶宮時代の緒にあります。




≪春分点の移動を図示≫

地球の自転軸の首振り運動こと「歳差運動」によって、地球の赤道を宇宙に投影した「天の赤道」も少しずつ動いていきます。

そのため、「天の赤道」と「黄道」との交点「春分点」&「秋分点」も、少しずつ移動しています。

次のようにです。




地球の自転軸は、地球の公転軸に対して約23・3度の傾きを保ったまま、ゆっくりと首を回すように約25,920年という長いときをかけて一回りします。

これを歳差運動(Precession)といいますが、それに伴なって交点の「春分点」も少しずつ黄道上を移動していくことになります。

「春分点歳差」とも呼ばれています。

それゆえ、地球の自転軸の延長上、北方向には現在「北極星」(polaris)が位置しており、地球の自転に伴なって星たちは北極星を中心に回っているかのように見えます。

ところが、約12,460年ほども経つと、地球の自転軸の延長上は上図の「ベガ」の付近に移っていきます。


【One Point】 ベガは、「こと座」の一等星で「夏の第三角」の1つです。

七夕の織姫星としても知られています。

つまり、現在の秋分点がある位置に、春分点が移動していくことになります。

ただし、12サイン(宮)は常にいつも「春分点」を牡羊宮0度とします。




≪トロピカルとサイデリアル≫

おまけの関連知識です。

西洋占星術は、今現在の「春分点」を12サイン(宮)の始点とする「トロピカル方式」を多くの場合、採用しています。

一方、インド占星術(ジョーテッシュ)は、古代ギリシャ時代の当時のままの春分点の位置を始点とする「サイデリアル方式」を採用しています。

夜空の星座でいえば、おひつじ座とうお座の境あたりになるため、サイデリアル方式は星座と12サイン(星座宮)がほぼ重なっています。

結果、トロピカル方式とは現在、1サイン分(1星座分)ほどズレることになりますが、この差を「アヤナムシャ」と呼んでいます。


【One Point】 「あなたはおひつじ座生まれね」(太陽)というとき、インド占星術では、そのままおひつじ座(Constellation)に位置する太陽ですが、西洋占星術の場合は、おひつじ座ではなく、うお座に位置する太陽になります。

正確には、ホロスコープの「牡羊宮」に位置する太陽です。



※宝瓶宮占星学では、混乱を避けるためホロスコープの12サイン(宮)は「漢字」で表記しています。空の星座は「ひらがな」です。春分点の移動に伴なうプラトン月は、伝統的な12サイン(宮)の呼称で「白羊宮」「双魚宮」「宝瓶宮」「磨羯宮」などと表記しています。









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