天照大神ら「三貴子」の疑問
2016.12.06
●宝瓶宮占星学サイトの連載「占星学と解く日本成立史」と「占星学から解く日本の原点」に書いていない「小ネタ」を随時アップしていく第5弾で、今回は“問題提起”です。


「三貴子」と書いて、「みはしらの うずの みこ」と読みます。

「はしら」(柱)というのは「神さま」のことで神様を数えるときの単位です。
「うず」(珍)というのは、「尊い」ことや「高貴」なことです。

よく、「○○尊」○○命」と書いて、いずれも「みこと」と読みますが、『日本書紀』には次のように注記されています。
「たいへん貴いお方は“尊”といい、それ以外のお方は“命”といい、ともに“みこと”と読む」

「三貴子」というのは、さらにその上の貴いお方のことです。
一般に皇祖神といわれる「天照大神」「月読尊」「素戔嗚尊」とされます。
原点となる三柱なので「三貴子」です。

ところが、『日本書紀』で「貴」(むち)と号されるのは、この三柱の神々ではないのです。
次の三柱の貴が『日本書紀』神代(上)に記されています。

1、「大日霎貴」(おおひるめのむち)……日の神。
2、「道中貴」(ちぬしのむち)……三女神。
3、「大已貴神」(おおあなむち)……一書にいう大国主神。

本来は、この三柱が日本の原点となる神々ではないでしょうか。

ちなみに、「大日霎貴」は、「一書に天照大神という」と注記されています。
「道中貴」は、一書にしか記されませんが、筑紫の水沼君らの祭神で、日神がお生みになられた三柱の女神のことです。
最後の「大已貴神」は、素戔嗚尊の子です。

いずれも『日本書紀』に記されている内容のまま、記載順にご紹介いたしました。


※『日本書紀』は、わけあって「天照大神」と「素戔嗚尊」を軸に神話を語ります。
ですが、本当に実在した日本の原点となる「三貴子」は後者ではないかという“問題提起”です。


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