「三種の神器」は“創作”だった
2017.01.09
●宝瓶宮占星学サイトの連載「占星学と解く日本成立史」と「占星学から解く日本の原点」に書いていない「小ネタ」を随時アップしていく第8弾です。


『日本書紀』の中に、三種の神器は何か所出てくるでしょうか。

ちなみに、三種の神器というのは、単なる「鏡・剣・玉」とは違います。
固有の「八咫鏡」「草薙剣」「八尺瓊勾玉」をもって三種の神器とし、皇位を象徴するものです。
でなければ、そのへんの「鏡・剣・玉」をもって三種の神器だといって、だれでも「天皇」を名乗ることができてしまいます。

実は、『日本書紀』の中に「三種の神器」は、たった1か所しか出てきません。

それも「神代」(下)=神話の中のみです。
さらには、本文ではなく「一書」に記されるのみなのです。

つまり、『日本書紀』編纂者でさえ、当時は「三種の神器」を正統な記録として扱っていません。
「一書にいう」ではじまる参考としての「異伝」の中に、次のように記されています。

●『日本書紀』神代下「一書」より抜粋
「そこで天照大神は瓊瓊杵尊に八尺瓊曲玉および八咫鏡・草薙剣の三種の神器を賜った」
原文:「故天照大神 乃賜天津彥彥火瓊瓊杵尊 八坂瓊曲玉及八咫鏡 草薙劒 三種寶物」

いわゆる「三種の神器」というのは、「神話」にすぎず、しかも「異伝」(一書)のお話でしかないのです。

その「三種の神器」が、なぜ今日に伝わる実在になったのでしょうか。
それは、万世一系のもととなった天武天皇と持統天皇の孫、「文武天皇」への皇位継承が完成したからです。

なぜなら、文武天皇こそ「祖父天皇」(和風諡号)であり、天照大神の孫、天孫「瓊瓊杵尊」の立場にあたる実在の現人神(天皇)だからです。

持統天皇までの「鏡」と「剣」の二種の神器に「玉」を加え、文武天皇の即位以降、「三種の神器」として万世一系の天皇の神璽(みしるし)となって今日まで続いているわけです。

※この項つづく。


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