中共ミサイルvs潜水艦
2020.08.02
 
緊迫する尖閣諸島。

この8月で敗戦(終戦)から75年、そして今年2020年5月で沖縄返還から48年が過ぎました。

これが意味するのは、沖縄県石垣市の「尖閣諸島」が、アメリカから返還されて48年が経つということです。

慣例的には、“実効支配”が50年経つと、領有権が確定します。

もちろん中国は、そんなことは守りはしないのですが、“自国の領土”という主張のハードルがあがるのは事実です。

そのため、尖閣を西太平洋侵出のみならず、台湾&沖縄を領土化するために、「核心的利益」と身勝手にも主張する中国は、50年が経つ2022年5月まで1年9か月のあいだに、尖閣を奪取しようと最後の攻勢に出ています。

それは、アメリカをはじめとした欧米諸国から“囲い込まれ”、窮地に陥りつつあることからも、いっそう焦っているともいえます。


先進諸国からの“囲い込み”を脱するには、もっとも“弱い”ところを突破するのがセオリーです。

それゆえ、領土的には“香港”に続いて「尖閣諸島」がターゲットとなっている現状です。

その現われが、過去最長、110日近く連続して「尖閣諸島」の接続水域また領海内に中国海軍所属の海警局の公船などが、昨日8月1日まで侵入しつづけていたのです。

もっとも、本日8月2日は、“台風”にそなえてか、110日ぶりに中国公船が接続水域外に退去しました。


それはともかく、中国の戦略は「狡猾」です。

中国海警局の公船が、尖閣諸島の接続水域やときに領海内に侵入することによって、もし日本の海上保安庁が安易にその“挑発”にのって、実力行使にでれば、中国は次のような軍事行動をとります。

尖閣諸島の後方、約90kmの海域に、つねに控えている中国海軍のフリゲート艦が出動します。

名目は、同じ人民解放軍「東部戦区」に所属する中国海警局の公船を“守る”ためです。

中国海軍が出ばれば、海上保安庁では対抗できないために、日本は海上自衛隊に出動を要請することになります。

実は、それこそが中国の思うツボで、それをみすえて、空母でさえ一発で沈める可能性がある中国海軍の「迷彩ミサイル艇」が台湾北方に中国公船の尖閣侵入時にはつねに展開し待機しています。



それだけではなく、中国大陸沿岸部にも「地対艦ミサイル」が、フリゲート艦や海警局の公船と連動して展開配備されています。


そのため、もし戦闘状態になれば、複数の対艦ミサイルが海上自衛隊の艦船めがけて「迷彩ミサイル艇」や「中国本土」から飛んでくるてはずになっています。

海上自衛隊の艦船にかぎらず、アメリカの艦船が尖閣に出てきても同様です。

こう書くと、もはや風前のともしびの「尖閣」です。


ですが、日本も無策ではありません。

“徐(しず)かなること林の如く”、日本は世界最高クラスの潜水艦がいつでも有事に対応できるように、尖閣近辺の東シナ海のどこかに潜んでいるはずです。

そうなると、空からミサイルの後方支援があるとはいえ、中国海軍も安易に手出しはできません。

いつどこからともなく、魚雷や潜水艦発射型ミサイルが飛んでくるかわからないからです。

結局のところ、このような緊迫した状況が、「尖閣諸島」を巡ってずっと続いているのです。


では、どうすればいいのでしょうか。

このようにガップリ四つに組んだ場合、勝負の世界では、焦って先に動いたほうが“負け”というのが相場です。

そのため、日本も安易に動けません。

下手に動けば、中国に「尖閣上陸」の口実を与えることになりますので、慎重に対処しています。

それは、中国も同様です。

中国がもし先に動いて、尖閣に上陸でもすれば、アメリカはもちろん国際世論に関与の口実を与えることになります。

日本も、洗練された特殊部隊が密かに上陸し、実効支配を確立する手はずになっていることでしょう。


結局、お互いに手の内を探りつつ、失策を待っている状況で、まさに手に汗にぎる目には見えない一触即発の“攻防”が、尖閣をめぐって繰り広げられている現状です。

もちろん、今後、何が起こるか予断は許しません。

しかし、逆にいえば、“実効支配”のまま、長引かせれば「日本の勝ち」なのです。

なので、焦らず、常に万全の“疾(はや)きこと風の如し”の防衛戦闘の態勢を整えたまま、“動かざること山の如し”の軍事介入を招くトラブルを忍耐強く避け続けながら、実効支配を確立するというのが、どうやら日本の戦術のようです。



※ご参考
「風林火山」=疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山。
疾(はや)きこと風の如く、徐(しず)かなること林の如く、侵掠(しんりゃく)すること火の如く、動かざること山の如し。
なのですが、「専守防衛」をかかげる日本は、“侵掠”は行ないませんので、「火の如く」という場合、日本が攻撃されるさいの「敵地攻撃能力」になるといえます。








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