麒麟がくる「本能寺の変」
2021.02.14
 
「本能寺の変」の背景を「ホラリー・ホロスコープ」からリーディングします。

9年ほど前の2012年に「宝瓶宮占星学」サイトにアップしたのですが、今回は少し“設定”をかえてみました。

“変”が起きた「天正10年6月2日」は、ユリウス暦だと1582年6月21日です。

この4か月後の10月5日からグレゴリオ暦に変わりました。

お使いの「ホロスコープ作成ソフト」で、「1582年10月5日」と「同年10月15日」の星の配置が「同じ」であれば、ユリウス暦とグレゴリオ暦を自動変換しているソフトになります。

その場合、たとえば「ウィキペディア」どおりの年数を入力して問題はありません。

それはともかく、今回はユリウス暦6月21日の午前4時40分でホロスコープを作成しました。


盆地の京都では、朝日は昇っていないものの日の出直前の時刻で、「敵」と「味方」の区別ができるくらいの黎明(れいめい)だったと存じます。




ちなみに、大河ドラマ「麒麟がくる」がちょうど1週間前に「本能寺の変」を放送し無事、最終回をむかえました。

明智光秀の動機をどのように描くのか、興味があったのですが、常識どおり「単独説」でした。

連載中も、相応にドラマ上の演出はあったものの「織田家ナンバー2」の光秀の立場をちゃんと描くなど、史実に近いスタンスをとっていたといえます。

本能寺の変の「ホラリー・ホロスコープ」も、宝瓶宮占星学サイトに掲載した2012年と変わらず「単独犯行」を示していました。

光秀は、信長に代わって“天下”というか、「TOP」を狙っていました。

ただし、想定外の“誤算”が生じることが示唆されています。


そんなリーディングの“結果”をまとめますと、大きくは次のようになります。


1、光秀の明確な“意志”による「単独犯行」。

2、“変”の主な原因は「信長」自身にあり。

3、“衝動”もあるが「計画的な犯行」である。

4、「内通者」が本能寺にいた。

5、信長に代わって「権力」の奪取を考えた。

6、光秀の計画に「事実誤認」があった。

7、信長殺害の成功と遺体の“喪失”。


以下、簡単にご説明しておきます。


1、単独犯

上掲の「ホラリー・ホロスコープ」は、これ以上ないほど明確な「単独犯行」を示しています。

代表的には、ASC(Ascendant アセンダント=上昇点)「蟹宮」の共鳴星「月」がASC(上昇点)に合(コンジャンクション=0度)をとっていることです。

のみならず、「水星」や「太陽」などを交えて五重合(クインティプル・コンジャンクション=0度)また第1ハウス(室)での「大会合(ステリウム)を形成しているためです。

これらは光秀の「信長殺害」への強い“意志”を象わしています。

さらにいえば、“犯行の動機”を象わすIC(Imum Coeli イムン・コエリ=天底:北中点)「乙女宮」の共鳴星「水星」が、ASC(上昇点)に合(0度)であることも単独犯行を象わします。

ほかに「火星」や「土星」の配置も光秀自身による「下克上」を読みとることができます。

要は、ナンバー2がナンバー1の信長を排斥して、自らTOPに立とうとしたのが「本能寺の変」です。

理由は、もはや織田家“ナンバー2”として自分を引き立ててくれる信長ではなくなったからです。

そんなこんなで、光秀のメンツが保てないことが心因としては大きいでしょう。


2、原因は信長自身

ASC(上昇点)に合(0度)の「太陽」もそうですが、DES(Descendant ディセンダント=下降点)「山羊宮」の共鳴星「土星」が、「本能寺の変」の“原因”は信長自身であることを象わしています。

ターゲットの“信長”を象わすDES(下降点)の共鳴星「土星」は、“光秀”の意志を象わすASC(上昇点)を含む五重合(0度)に上三分(アッパー・トライン=120度)をとっているからです。

なぜ、そうなるのかは長くなるので省略させていただきます。

これらは、「本能寺の変」は信長自身が招いたものだということです。

“変”を知ったときの信長の「是非もなし」という言葉は、光秀に対する自身の“むごい”仕打ちを自覚していたからでしょう。


3、計画的犯行

光秀は緻密な実務家だったといわれます。

上掲のホロスコープでも、“動機”を示すIC(北中点)が“完璧性”を象わす「乙女宮」であること、また、その共鳴星の「水星」が、ASC(上昇点)にジャストの合(0度)であることにもそれがあらわれています。

本能寺の変は、光秀の「緻密な計画的犯行」でした。


4、内通者がいた

“事件の現場”を象わすMC(Medium Coeli メディウム・コエリ=天頂:南中点)は、「魚宮」であることから“宗教施設”(本能寺)が事件の現場だったことは間違いありません。

重要なのは、魚宮の共鳴星「海王星」が“光秀”を象わす「月」と合(0度)をとっており、MC(南中点)に下三分(120度)であることです。

これは“本能寺”側に光秀に情報などを提供した「内通者」がいたことを象わします。

当夜、信長が間違いなく本能寺に宿泊していることなどを知らせた人物です。

断定はいたしませんが、それは“女性の宗教関係者”だった可能性が高いようです。


5、権力の奪取

重要なことは、「本能寺の変」が“謀反”や主君への“裏切り”とはかぎらないことです。

これらは、信じにくいかもしれませんがのちの世でつくられた“印象操作”です。

戦国乱世の当時は「下克上」は当たり前(常識)でした。

光秀を信頼していたゆえの信長の油断があったのです。

のちに天下をとった秀吉は、光秀の“手柄”をうばい、“悪人”に仕立て上げました。

続く徳川政権は、序列(身分)を重視する“支配思想”ともいえる「儒教」によって、天下泰平を維持するために普及させ、「忠孝」(君に忠:お家大事)を基本モラルとし、“反逆”は武士にあるまじき振る舞いと定めました。

それゆえ光秀は、「主君信長を裏切った“反逆者”」としてのイメージが、のちの世に定着していったのです。

さらには、“三日天下”となった実状とともに、これらは光秀を“二流の人物”かのように印象づけることになりました。

光秀の誤まったイメージは、今なお、現代人にも定着しています。

つまり、「光秀ごときが独りで信長に反逆できるはずがない、きっと“黒幕”がいるに違いない」とかってに憶測してしまうのです。

違います。

信長が「天下人」だとすると、光秀はそれを支えた“天下人ナンバー2”なのです。

少なくともそう自負していました。

「自分がナンバー1でもおかしくない」と…。

「麒麟がくる」は、光秀のイメージを、少しは払拭したのでしょうか。


お話を戻しますと、ASC(上昇点)を含む五重合(0度)が、「冥王星」を上方矩(アッパー・スクエア=90度)としていることが、それを象わしています。

この「冥王星」は、光秀の“意志”が「社会的な権力」(テッペン)をとることにあったことを示しています。


6、「事実誤認」と 7、“喪失”

最後に、「本能寺の変」が最終的に成功しなかったことについてです。

光秀らしく、“緻密に計画し実行”したのは事実です。

しかし、それは光秀なりの“完璧性”でした。

天下国家からみたとき、“事実誤認”や信長に関する“喪失”(ミス)をともなうことが、上掲の「ホラリー・ホロスコープ」には象わされています。

“光秀”を象わす「月」に合(0度)の「海王星」もそうです。

また、光秀と同時に“信長”を象わす「太陽」に衝(オポジション=180度)で、DES(下降点)に合(0度)の「ケレス」もそうです。

歴史の結末を知った立場からいえば、光秀の“事実誤認”は、秀吉の「中国大返し」を予測できなかったこともその一つでしょう。

また、ターゲットの信長の“遺体”を見つけられなかったこともそうでしょう。

いずれにしても、DES(下降点)に下三分(120度)で、同時にIC(北中点)に上三分(120度)の「火星」は、“信長殺害”(自害)の成功を象わしています。

にもかかわらず、“目的”(ターゲット)を象わすDES(下降点)に合(0度)の星が、「ドラゴン・ヘッド」や「ケレス」では、いくぶん“現実性”や“有効性”に欠ける結果が示されています。


ちなみに、なぜ秀吉は「中国大返し」を成功させたのでしょうか。

それは、戦時においては、つねに情報が重要なので、状況に変化があった場合、ただちに第一報が届けられるようにしておくのは“常識中の常識”だったからです。

次に、秀吉の性格からいえば、京から信長さまをお迎えするにあたって、「道」の整備や周辺の警備、また「兵糧」など兵站(へいたん)を準備しておいたことが、「中国大返し」に役立ったという説が有力です。


秀吉は、6月7日夕~9日朝まで姫路城に2泊もとどまっています。

それは、さらなる「情報収集」が必要だったからで、このまま進軍しても大丈夫なのか、その確認と諸所への根回しが必要だったからでしょう。

秀吉も100%の情報はつかんでいなかったのです。

結局、光秀最大の“誤算”(事実誤認)は、諸将の協力をえられなかったことです。

逆に秀吉は、「人たらし」と呼ばれる性格等によって、周囲の勢力を巻き込むことに成功し、明智軍が待つ「天王山」に進軍しています。

信長に忠実で、作戦の遂行と自身の「メンツ」を実務的に優先した光秀と、相手を持ち上げ自分をさげすんで「人心」をとらえた秀吉の日頃の行ないの差が、最後の勝敗を決めたといえます。

光秀最大の“事実誤認”が、そこにあったのです。













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