牡牛宮、雄牛座、金牛宮
2022.03.01
 
牡牛宮、雄牛座、金牛宮
― どれが正しく妥当性があるのか ―


◆「混乱している現代占星術の“雄牛”表記」



サイン(宮)名の表記「牡牛宮」「雄牛座」「金牛宮」は、どれが妥当でしょうか?

というより、半分はイチャモンに思える記事になります。

アップしておいてなんですが、好きに読み飛ばしてください。

読んで時間のムダだったと思われても何の責任も持てません。



≪雄牛の表記はヘン≫

かねてより、おかしいと思っていました。

現代占星術がもちいている「雄牛座」についての表記です。

ホロスコープのサイン(宮)を「〇〇座」と読んだり、表記すること自体が間違いなのですが、ここではそれは問いません。

そうではなく、「The Constellation Taurus」(おうし座)ならぬ、英語で次のように表記されるホロスコープの第2サイン(宮)です。

「Sign Taurus」(サイン・トーラス)
「Taurus Zodiac Sign」(トーラス・ゾディアック・サイン)
「Astrological Sign Taurus」(アストロロジカル・サイン・トーラス)

いずれも、ホロスコープの第2サイン(宮)のことですが、どのように日本語訳して、表記するのが妥当なのかというお話です。

具体的には、「牡牛宮」「雄牛座(雄牛宮でも)」「金牛宮」は、どの表記がもっとも妥当性があるのかというお話です。

ホロスコープのサイン(宮)名を、「〇〇座」と表記するのは、何であれ間違いです。

約2,000年も前なら別ですが、現代占星術は知っていながら、修正する勇気も気概もありません。

空の星座「おうし座」の位置は、ホロスコープでは現在「双子宮」です。

星座「おひつじ座」の位置が、ホロスコープでは、ほぼ「Sign Taurus」(サイン・トーラス)になっています。



≪宝瓶宮占星学の表記≫

宝瓶宮占星学では、誤解を避けるために、次のように表記を使い分けています。

空の星座は「(ひらがな)座」、たとえば「おうし座」などのように、ひらがなで表記しています。

ホロスコープのサイン(宮)名は「(漢字)宮」です。

双魚宮時代(そうぎょきゅう じだい)や「宝瓶宮時代」(ほうへいきゅう じだい)といった「占星学的な時代区分」は「(旧名称漢字)時代」です。

ホロスコープの現「サイン(宮)」と「占星学的な時代区分」のサイン(宮)とは、位置が異なるため、古代シナ由来だと存じますが伝統的なサイン(宮)の名称で表記しています。

ちなみに、「占星学的な時代区分」というのは、2,000年以上前の「春分点」を起点として、黄道を12等分したもので、それぞれ約2,160年(計算値)ずつ続きます。

そのため、位置的には空の「黄道12星座」(現在は13星座)に類似します。

ちなみに、「おうし座」の位置に、かつて春分点があった約4,500~6,700年前のB.C.46~68世紀は、「Sign Taurus」(サイン・トーラス)に共鳴する「金牛宮時代」(きんぎゅう きゅうじだい)でした。

金牛宮時代のあとが、白羊宮時代(はくようきゅう じだい)で、次が双魚宮時代、その次が今日の宝瓶宮時代です。

そして約2,000年後には「磨羯宮時代」(まかつきゅう じだい)というように通常のサイン(宮)を逆順に進んでいきます。



≪牡牛宮でいいんじゃない≫

いずれにしましても、下記の理由などから、宝瓶宮占星学では「牡牛宮」という表記をもちいています。

ホロスコープのサイン(宮)名に「〇〇座」と星座名を用いるのは論外で誤りです。

さらに、以下の3つの理由から、「雄牛宮」はもちいません。


【理由1:牡羊宮との整合性】

存じのように、「牡羊宮」(おひつじ きゅう)は、現代占星術でも「牡」の字を使っています。

同じオスメスの用例なのに、かたや「牡羊」、かたや「雄牛」と、「牡」と「雄」の字を使うのは稚拙ではないでしょうか。

「牡羊」と「牡牛」とでは字面が似ているために紛らわしいと考えたのでしょうか。

正統的な呼称では、古来から「金牛宮」でした。

これが無難なのですが、星座名は「おうし座」だからかもしれませんが、いつから「雄牛」と表記するようになったのでしょうか。



≪雌牛表記はなかった?≫

【理由2:過去に「雌牛」の用例はなかった?】

「牝牛」(ひんぎゅう)という用例は昔からあります。

ですが、「雌牛」(めうし)という用例は、過去の文献にはないそうです。

どこかで見た記憶はあるのですが、近年、星占いで「雄牛座」と目にすることが多いために、「雌牛」があるに違いないと思ってだれかが使ったのでしょうか。

ですが、「雌牛」の用例が過去にはない以上、雌雄一対なので「雄牛」という表記は正当な根拠自体が怪しくなります。

深くは知りません。

念のために書いておきます。

間違った用例でも、長いこと使われていると、慣用になって認知されることがあります。

その点、世間がどのようにご判断されたり、お感じになられて使い続けていくのかが重要になってきます。

ですが、それはまた別のお話です。




≪女性サイン(宮)なのに?≫

【理由3:女性サイン(宮)に区分】

古典占星学また現代占星術では、12サイン(宮)を男性サイン(宮)と女性サイン(宮)に2区分することがあります。

そのさい、「Sign Taurus」(サイン・トーラス:Taurus Zodiac Sign、Astrological Sign Taurus)は、女性サイン(宮)に区分されます。

星座の「おうし座」は、占星学(術)の2区分とは関係がないので、「おうし」でいいのです。

ですが、自ら女性サイン(宮)に区分しておきながら、「雄牛」と表記するのはヘンではありませんか?

混乱や矛盾がそこにあるようです。

ちなみに、星座の「おうし座」の由来となった神話は、ゼウスが白い牛の姿になって云々というお話です。

ゼウスは男性神ゆえに、「おうし座」という星座名で問題ありません。

おかしいのは現代占星術の「雄牛」という表記で、二重に間違いなのが「雄牛座」です。

「〇〇座」という表記自体が現代では間違いなのは、関係者ならご存じのとおりです。

現代占星術でも良識ある人からは、「女性星座なのに、雄牛座という表記はおかしい」という疑問の声が上がっています。

もっとも、宝瓶宮占星学では、男性サイン(宮)女性サイン(宮)という2区分は採用していません。

ということがありまして、「牡牛宮」という表記をもちいています。



【ご参考:「牡」と「雄」の違い】

もともと「牡」と「雄」とでは用例が異なります。

「牡」は部首が「牛」ヘンなので、牛はもちろん動物に使うのが一般的です。

一方、「雄」は部首が「隹」(ふるとり)なので、雀や隼などのように鳥に使います。

また、雄しべや雌しべなどのように花にも使います。

結局、使い方からは「雄牛」という用例は間違いで、「牡牛」が正解なのです。

逆に、現代占星術はワザと「雄牛」と使って、「おうし座」とはいうものの2区分では牝牛だと匂わせたいのでしょうか。

それも姑息なので、やはり「雄牛」(座)は用例ミスなのでしょう。

もちろん、ご判断は皆さまのご自由です。









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