クオリアル生活-食彩編
2022.04.17

クオリアル生活-食彩編
― グルメ通に意味はあるのか ―



◆「食彩を広げる素のうす味を愉しむ食ライフ



「クオリアル生活」の第3回めは食彩編です。

味覚や好みは人それぞれですし、何を食せばよいかは、実は“からだ”が知っています。

結局、美味しく食べて、健康や体調を維持できれば何でもいいんです。

たとえば、素のままのうす味が多様ですし、飽きないで食べられます。

無理にグルメ通である必要はないし、そこに意味はあるのでしょうか。

人間の体はそのようにはできていないからです。

美味しくても飽きてきますし、体に良いともかぎりません。




≪食の基本の三原則≫

人は何のために食べるのか?

その根本です。

食べなければ生きられないので“食本能”が備わっています。

1、生きるために「食べる」、これが大前提です。

2、次に、健康維持のために「食べる」、身体はそのようにできています。

3、さらには飽きずに美味しく「食べる」、心の満足や豊かさも重要です。

食における「基本の三原則」です。

さらに、補足的に4番めを挙げておきます。

4、シチュエーションを考えて楽しく「食べる」。

食環境のシチュエーションは、案外と大切です。

“感情の動物である”といわれる人間にとって、味の感覚までも左右します。


【One Point】  さて、食といえば「グルメ」を思い起こします。グルメといえば、最近はテレビに出なくなりましたが、一時期、WK氏が有名でした。彼のグルメはテレビ用なのか、どこか表層的で中身がないと思っていたら、案の定、下種いスキャンダルを起こしてくれました。



≪ご自分なりのこしらえ方≫

グルメ(gourmet)やフーディー(foodie)が、“食通”や“美食家”をさすのか、それとも単なる“食いしん坊”の美名なのかは分かりません。

一緒にしては失礼なのですが、高名な「美食家」といえば、北大路魯山人(きたおおじ ろさんじん1883-1959)氏がいます。



美味しく食べるために、調理だけではなく器にもこだわり、陶芸家としても名を上げたほどの多才な文化人です。

そんな彼ですが、庶民の味「納豆」が好きだったことでも有名です。

「究極の納豆の食し方」で納豆の“ねり方”に触れていて、バイブル的な扱いをされているようです。

たとえば、魯山人の「納豆の味」を再現しようと、第三者が検証したところ、305回かき混ぜて醤油を加え、さらに119回かき混ぜるとよいのだそうです(笑)。

合計424回も混ぜて、納豆をこしらえる必要はあるのでしょうか。

人それぞれ好みが異なれば体調や体質も異なります。

生きている時代も違いますし、私たちは魯山人ではないのです。


【One Point】  何よりも時代が変わりました。昨今の納豆は、多忙な現代人向けに手早く美味しく食せるパック詰めが多いのです。嫌いでなければ、味も素朴なので、適時、ご自分なりに美味しいと思う食べ方を工夫されるとよいでしょう。ちなみに書いておきますと、魯山人氏は「納豆の茶漬け」を楽しまれていたそうです。



≪食文化や食生活は人それぞれ≫

次です。

誰が言ったのか、魯山人氏だったのか、定かではありません。

いわく「日本人は肉の食べ方を知らない」のだそうです。

昭和初期の頃まではともかく、現代では該当しません。

なぜなら、宝瓶宮占星学のリーディングから申し上げますと、戦後日本の“現体制”は「牡牛宮」で象徴されるようになったからです。

※ご参照「日本は何座宮?」(宝瓶宮占星学サイト)

なので戦後は牡牛宮の象意にもとづいて、日本人は衣食住(ファッション、グルメ、インテリア)をはじめ社会環境など、日常生活の快適性(アメニティ―)の実現に注力してきました。

かつては食卓にのぼらなかった肉に関しても、主食のごはんに合うように薄切りやヘルシーで美味しく食する調理方法を考え出しています。

肉を主食としてきた欧米人とは異なるのです。

たとえば、日本では余分な油脂を落として野菜などとともにポン酢やごまだれに浸して食べる「しゃぶしゃぶ」があります。

さらには、外国人にも評価が高い「和牛」ブランド。

また、ビーフボウルこと「牛丼」など、日本流の肉食はヘルシーで美味しいと外国人にも好評なのだとか。


【One Point】  ほかにもあります。日本の「ステーキ」はサイズはともかく、柔らかくて美味しいと評判です。「すき焼き」や「やきとり」(ざく切りのキャベツと酸味のうまたれ付きが博多流)も、来日外国人には人気だそうです。ふだん、外人さんは、これらを食べ慣れていないので新鮮で美味しく感じるのもあるでしょう。それも食し方の秘訣です。



≪グルメ評論家のホンネ≫

ついでに、知人のエピソードを一つ。

その知人は、海外出張のときに生肉の食にはまったそうです。

美味しいので食べ続けていたら、ぶくぶくに太ったのだとか。

飼育された肉や養殖物は、余分な油脂が多いだけでなく、薬品などを使って“太らせる”ようにしているものがありますので、食べ続けていると、当然、健康に要注意です。

類似の体験はありませんか?

お話は変わりますが、今度はマスメディアで有名なあるグルメ評論家のお話です。

テレビレポートの手前、“そば通”らしく、ざるから持ち上げたそばの下だけをチョンとそば猪口につけて、うまそうに食べてみせました。

通の食べ方とされているものです。

ですが、別の番組でぶっちゃけて言うには、「本当はそば猪口の中にたっぷり浸して食べたい」と話していました。


【One Point】  どちらが良い悪いではなく、打ち立てだったり、香りが高く、うすくても味のあるそばなら、つゆもつけずに本物のワサビだけで十分に美味しくいただけます。そうではない乾麺をはじめ、作り置きなどの場合は、そうはいかないでしょう。要は通ぶって固定観念にとらわれず、ものに応じた食べ方をすればいいのです。



≪食彩感覚は素のうす味で広がる≫

さて、以上をまとめましょう。

基本、古いものや大量生産品、また添加物の多いものや、生産や輸送時に薬品を使うものなど、本来の味が損なわれているものなら、調味料などで味付けして食べるのもやむをえません。

ですが、それで美味しく感じても、市販のワンパターンの調味料の味に慣れてきてしまい、美味しいと感じなくなるのが人間です。

濃い調味料の味付けに慣れてしまうと、次第にバカ舌になります。

そこで、おすすめの一つは次のようなことです。

天然物やそれに近い食材など、そのものの素のうす味を楽しめるようになっていくと、食彩(味覚感覚)が広がります。

バカ舌になるとそれが味わえません。

なので、まずはその改善が必要になるのですが、素のうす味は微妙な違いながら、同じ味のものはないので飽きがきません。

天然物でも一応は気を配らなければならないことはあるでしょう。

でも、そこまで言いはじめたらきりがなくなります。

結局、味覚感覚の改善で健康にもよく、美味しく食せるようになっていきます。


【One Point】  美味しく感じても、味付けをしたものは食べ続けていると飽きがきます。そこで荒ワザですが、意図的に「粗食」や体に悪くない「美味しくない」ものを随時食して、“味変”するといった方法もあります。ご自身の“からだ”に聞いて、必要だと欲しているものを適度な量、そのつど食するというのがよいようです。


【空腹と材料を見抜く目】

「美味しく食べる」ということのみに関していえば、最大のサジェスチョン(示唆)は、次の言葉でしょう。

「空腹は最大の調味料である」

無自覚でも“からだ”が不足を感じ、必要としているものを食すと、からだが喜び、「美味しい」と感じるようにできています。

それが適度な空腹の状態です。

また、本文に関していえば、次のことも必要です。

素のうす味で食して、健康にも良い、食材を見抜く目を培う。

そういった意識や経験、また知識をともなった素材選びの目や、その調理方法をふくめて、素のうす味を楽しめる食彩生活が可能になっていきます。

最後に、書いておきます。

食は人それぞれです。

また、必要なものは日々の体調やコンディションも違うため、“からだ”が知っています。

それを感じられる感性を養うことも、考慮されるとよい一つになっています。









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