ヨハネの黙示録12の門
2022.05.07
 
ヨハネの黙示録12の門
― アストロロジーとの共通性 ―



◆「東西南北それぞれ3つの門は四大元素説と同じ



現代の西洋占星術は、アストロロジーでしょうか?

占星術は「ディビネイション」(divination:占い)ですよね。

世間一般的な見地からは、客観的な理論をもつ学問「~ロジー」とは異なります。

「ディビネイション」(divination)を直訳すればdivineは神なので、「神ごと」になります。

“信じる/信じない”といった宗教に近いのです。

そのため、“吉/凶”や“当たる/当たらない”といった占断によって他力本願の信心に陥ることさえあります。



≪ヨハネの黙示録の記述≫

調べものがあって「ヨハネの黙示録」を見ていたら、次のような一文を発見しました。

「都には、高い城壁と12の門があって(中略)、東に3つの門、北に3つの門、南に3つの門、西に3つの門があった」(第21章12-13節)。

ここで「都」というのは、それぞれの門を御使い(天使)が守る「聖なる都エルサレム」のことのようで、たぶん天の国の象徴でしょう。

黙示録の解釈はともかく、12の門は古代ギリシャのアストロロジーの「四大元素説」に基づいた四角いホロスコープを想起させます。

偶然なのか、はたまたヨハネさんが知っていたのか。

定かではありませんが当時、世界を席巻していた最先端の世界観が「四大元素説」なので、記憶の片隅にでもあったのかもしれません。


【One Point】 こんなことを書くと「聖なる都“天国”と占星術を一緒にするな!」って信者のかたから怒られそうですね。

しかし、初期のキリスト教神学は、社会への布教のために古代ギリシャの学問(哲学)を用いて構築されていった経緯があります。



≪四角いホロスコープ≫

古代ギリシャのアストロロジーは、日本では誤まって“古典占星学”と呼ばれています。

ですが、当時は、現在考えられているような「占い」ではなかったのです。

古代ギリシャをはじめ世界的に活用された最先端の“学問”だったので、「星学」と呼ぶならともかく“占星学”はヘンですよね。

医学者や科学者をはじめ、ローマ帝国の知識人たちに必須の教養の一つだったのが古代ギリシャのアストロロジーでした。

「四大元素説」をベースに、体系化されたホロスコープ解釈のアストロロジーという学問だったのです。

近世までホロスコープが四角だったのは、それが「四大元素説」にマッチしていたからです。

その4つの辺、東西南北に3つずつ、合計12のハウス(またはサイン)が配置されていました。

『聖書』の最後を飾る「ヨハネの黙示録」の12の門の記述とよく似ています。


【One Point】 「四大元素説」に基づいて「火/土/風/水」の四大元素が、根本の「熱/冷」「湿/乾」によって、それぞれ3つずつ割り当てられました。

この四角いホロスコープの中に、12のサイン(またハウス)があって、太陽~土星まで7つの星を配置していたのはご存じのかたも多いでしょう。



≪アストロロジーの誤訳≫

では、アストロロジーを「占い」だと勘違いしている最大の原因は何でしょうか。

大きく2つあります。

1つは、日本の占星術関係者が、古代ギリシャのアストロロジーを“古典占星学”と呼んでいるからです。

私も以前はそう思っていました。

もう1つは「アストロロジー」(Astrology)が“占星術”と誤訳されているからです。

後者は海外の事情や歴史的経緯がありますので仕方がありません。

近世になって「四大元素説」は疑似科学(迷信)として退けられました。

そのために400年ほど前の16世紀後半以降にアストロロジー理論を維持したまま「占い稼業」に転化していった経緯があります。

それは「古典占星術」と呼んで間違いありません。


【One Point】 現代の西洋占星術は、自身に“幻想”や“欺瞞”また“事実誤認”といった象意を、“夢”や“理想”などの美しい象意とともに持っています。

1846年に発見された「海王星」の影響を受けて成立しましたので、われ知らずともそのような“現実錯誤”をしやすい側面があることを、占術師ご自身も気づいておられないようです。



≪「木星」と現代の「海王星」≫

もう一つ、占星術関係者もご納得の観点から理由を述べてまいります。

「木星」と「海王星」は誰もが知ってのとおり別の星です。

両星の象意には似た部分がありますが、“学問的”(アカデミック)な象意をもつ「木星」と、“神秘的”(オカルトチック)な象意をもつ「海王星」なので正反対です。

「双魚宮時代」や「魚宮」の“支配星”の変遷からみても、19世紀の海王星の発見までは木星が“支配星”でした。

そのため、古代ギリシャの「アストロロジー」は木星の象意を受けた“学問”だったのです。

ところが、双魚宮時代末期、19世紀に海王星が発見されてのち、魚宮また双魚宮時代の“支配星”は海王星に変わっていきました。

それゆえ19世紀後半にアラン・レオらの星占いによって萌芽し変容していった現代の西洋占星術は、海王星の象意を受けた“神秘的”(オカルトチック)な占いに変わったのです。

古代ギリシャのアストロロジーとは似て非なるものになってしまいました。


【One Point】 いわゆる「秘教占星術」(神秘占星術)です。

「火/土/風/水」といった言葉をもちいてはいますが、理論は捨ててありません。

根拠としていた「四大元素説」も、400年も前の近代科学によって“疑似科学”(迷信)とされ理論破綻していて、もはや使えないので当然なのです。



≪現代占星術の成立≫

「四大元素説」の用語「火/土/風/水」を用いているからといって、理論までは踏襲していないということです。

四大元素を成している、より本質的な「熱/冷」「湿/乾」といった根本の理論は、言葉すら現代占星術には見当たらないので表層的に利用しているにすぎません。

理由は、アラン・レオ(1860-1917)がはじめた理論なき星占いが当時の心霊ブーム(近代スピリチュアリズム)のさなか、大人気をはくしたからです。

理論がない単純な“当たる/当たらない”の「占い」ゆえに、非科学的な心霊ブームのさなかにあった当時の大衆に受け入れられたのです。

面白くないのは、パクられた側の古典占星術師らです。

アラン・レオらを非難し、結果的に「火/土/風/水」といった用語だけを踏襲して「ホロスコープ占い」に変容させました。

それが今日の現代西洋占星術のはじまりです。


【One Point】 古代ギリシャのアストロロジーも、近世の古典占星術も、現代の西洋占星術も、ホロスコープを用いるのは同じです。

なので、みんな「占い」だと勘違いしています。

ですが理論解釈があると、中身がまるで異なってきます。

理論がなく、古い象意解釈を参考にするしかない現代占星術とは正反対だということに気づかなければなりません。









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