魚宮の“支配星”の変化
2022.08.29
[基本の基 #05] ― 古代の木星から現代の海王星へ ―



白羊宮時代の支配者(ルーラー)から生まれた支配星




“支配星”(ルーラー)の由来はどこにあるのでしょうか。

その働きも時代の真実も変わります。

かつては正しく、時代を席巻し、多大な影響力をもたらしてきた教えも、時代が変れば古くなるのみならず、次第に通用しなくなっていくことがあります。

“支配星”という言葉も、過ぎし日の時代に由来したものですが、その後のホロスコープ解釈に大きな影響をもたらしてきました。

ですが、人類歴史の進化に伴ない「自由民主主義社会」になった今日、もはや“支配/被支配”の時代ではなくなってきたのも事実です。




≪“支配星”の誕生≫

占星術には、“支配星”(ルーラー)という言葉があります。

時代にそぐわなくなりつつあるこの用語は、いつ、どのような背景のもとに生まれ、作用をもたらしてきたのでしょうか。

宝瓶宮時代(ほうへいきゅう じだい)の新しいアストロロジー「宝瓶星学」こと、通称:宝瓶宮占星学では、“支配星”ではなく、「共鳴星」という言葉を用います。

“支配星”は、ホロスコープが発祥した古代ギリシャ時代(BC30?-BC2)の末期に生まれました。

双魚宮時代(そうぎょきゅう じだい)の影響圏に入った紀元前6世紀以降のことで、古代ギリシャ文明(BC8-BC2)が栄えた時期です。

白羊宮時代(はくようきゅう じだい)の末期でもあり、ローマ元老院の専制的統治の支配下にありました。

白羊宮時代、双魚宮時代、宝瓶宮時代というのは、「春分点」の移動によって遷りゆくプラトン月(約2,160年:計算値)をアストロロジカルに呼称したものです。

“占星学的な時代区分”とご理解されてかまいません。


【One Point】 ホロスコープの12サイン(宮)は、「春分点」を牡羊宮の0度の起点とします。

古代ギリシャ時代の春分点の位置からみると、現在の「春分点」はすでに1サイン(宮)分ほど移動しており、原12サイン(宮)でいう「宝瓶宮」の緒にあるゆえ現在を宝瓶宮時代といいます。



【牡羊宮は星座ではうお座の位置】

「春分点」は、約72年に1度ずつ移動しています。

そのため、ホロスコープの12サイン(宮)と黄道12(13)星座は、古代ギリシャ時代にくらべて約1サイン(宮)≒1星座分ほどズレています。

かつては同じ位置だった「牡羊宮」と「おひつじ座」でしたが、現在の「牡羊宮」はうお座の位置にあり、かつての「おひつじ座」の位置には、ホロスコープの牡牛宮がきています。

ということから、海外ではホロスコープのサイン(宮)と空の星座を区別しています。

アストロロジーでは、「おひつじ座」(Constellation Aries)ではなく、「牡羊宮」(Sign Aries)と、サイン(宮)で正しく呼称しています。

ところが、日本の占星術界隈では、牡羊宮(Sign)にもかかわらず、“牡羊座”(Constellation)と呼んでいます。

現代占星術は「海王星」の影響を受けており、“事実誤認”の一例になっています。




≪古代ギリシャ当時の社会常識≫




人類歴史は、→白羊宮時代→双魚宮時代→宝瓶宮時代というように、春分点歳差によるプラトン月に基づいて変遷しています。

一般的にはそう呼ばれることはないのですが、なんと、12サイン(宮)の本意(ほんとうの象意)に基づいて、それぞれの時代は営まれており、実際の人類歴史に段階的な発展をもたらしています。

詳しいお話は、宝瓶宮時代の新しい宇宙観「数理法則とクオリアル・ワールド」(伝授講座)でお伝えしているとおりです。

白羊宮時代の前は、金牛宮時代、双児宮時代、巨蟹宮時代があるのですが、ご説明が長くなりますので省略させていただきます。

ホロスコープが発祥した古代ギリシャ文明期は、神とサタン、天国と地獄、善と悪、心と体(精神と肉体)といった「対立二元論」を歴史パラダイムとする双魚宮時代の影響圏にあり、「統一闘争論」(一元統治論)を歴史パラダイムとした白羊宮時代の末期でした。

白羊宮時代は「火星」の象意に基づいて、“こうあるべき”といった自己主張による闘いと統一の時代で、勝利したものが支配者(ルーラー)となって統治してきた時代でした。


【One Point】 今日のように、各自が対等かつ平穏に暮らすための「法」に基づいた自由民主主義の時代ではありません。

いわゆる「余がルールである」といった支配者(ルーラー)による一元統治が当然だった社会風潮の時代です。




≪ホロスコープの支配者≫

古代ギリシャ時代に誕生したホロスコープの解釈も時代を反映し同様でした。

世界は「熱冷湿乾」によって成り立ち、「火土風水」といった四つの元素によって構成されていると考えられていたのです。

そういった当時、最先端の学術的世界観によって解釈されたホロスコープもまた四角でした。

その際、ホロスコープを統治する“支配星”(ルーラー)という概念は、白羊宮時代に当然とされた社会統治を反映して誕生します。

四角いホロスコープ用いられた、太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星の7つの星がそうでした。


【One Point】 土星外惑星(トランス・サタニアン)の天王星、海王星、冥王星はまだ発見されていません。

これらが正式に水瓶宮、魚宮、蠍宮の“支配星”に定められたのは、1930年の冥王星発見後のことになります。



【時間が止まった解釈】

「熱冷湿乾」に基づく「火地風水」といった四元素説は、古代ギリシャ当時の最先端科学で世界に大きな影響をおよぼしました。

しかし、近代科学が発達した近世以降は、疑似科学(迷信)として退けられることになります。

「熱冷湿乾」にせよ「火地風水」にせよ、地上の一つの現象にすぎません。

それをもって、宇宙の星の象意を解釈することは無謀であり、無理があるので当然です。

ですが、だれも気づくことができず、それまで“真実”だと思われていました。

もっとも、現代占星術では、今でも「火/地/風/水」を使っています。




≪木星から海王星へ≫

そういったことがありまして、海王星が発見されるまで、魚宮また双魚宮時代の“支配星”は「木星」でした。

古代ギリシャのアストロロジーや16世紀の古典占星術は、「木星」の象意の支配下にあったのです。

その後、魚宮また双魚宮時代の“支配星”となった「海王星」の象意に基づいてはじまったのが、皆さまご存じの現代占星術です。

現代占星術は、海王星発見の2年後に世界的に巻き起こった心霊ブーム(美称:近代スピリチュアリズム)の社会風潮のなか、理論なきオカルト占い(占星術)として誕生します。

古典占星術師らの参入がありつつ、「海王星」の代表的な象意“まだ見ぬ理想”によって「ホロスコープ占い」としてはぐまれていきました。

新旧“支配星”「木星」と「海王星」の象意の特徴的な違いは、次のようになります。

仏教やキリスト教など伝統的な“世界宗教”を象わす「木星」に対し、「海王星」は“新興宗教”を象わします。

また、“学問”や“学術”を象わす「木星」に対して、「海王星」は“神秘主義”(スピリチュアリズム)を象わします。

すなわち、「木星」を“支配星”として発祥し発展した古代ギリシャのアストロロジーならびに16世紀の古典占星術は、近世に疑似科学とされた当時最先端の“学術的理論”によってホロスコープ解釈を行ないました。

一方、「海王星」が“支配星”となった時代の現代占星術は、通用しなくなっていた学術的理論を捨て、象意解釈のみを受けついで、“当たる/当たらない”のオカルトチックな秘境占星術(神秘占星術)に変容していったのです。


【One Point】 仕方ありません。

海王星の象意に伴ない心霊ブームとともに感覚重視の神秘的な占いにならざるをえなかったのです。

現代占星術の父とされるアラン・レオ自身が、自らの占星術をオカルトチックな秘境占星術だと明言しています。



【新興宗教団体「神智学協会」】

「海王星」の発見後、その象意波動によって世界各地に新興宗教が雨後のタケノコのように生まれました。

日本でも同様で、一例を挙げれば金光教、御岳教、大本など、19世紀後半~20世紀初頭にかけて多くみられます。

そのほとんどは、「木星」の象意である世界宗教の仏教やキリスト教の亜流で、「海王星」の象意に基づくものです。

伝統的な教えを現代人が納得できるように解釈しなおしたものが多く、19世紀後半の現代占星術の母体となった「神智学協会」も、神を科学するという突飛なテーマを掲げた新興宗教団体です。

事実、霊媒師マダム・ブラヴァッキーが設立者の一人になっていて、かつ代表者として率いていたのです。

その神智学協会の占星術ロッジ(支部)に所属したのが“現代占星術の父”とされるアラン・レオでした。




≪“支配星”から共鳴星へ≫

ホロスコープを用いながら理論がなく、「占い」というジレンマに陥り、“混乱”を内包する現代占星術は、「海王星」の代表的な象意“まだ見ぬ理想”によってはぐくまれていきます。

それでも、双魚宮時代の末期にあった20世紀までは、海王星の理論理屈を越えた“直観”(霊感)がはたらき、本物の占星術師を輩出するなど“夢”や“理想”(幻想)を伴ない、素晴らしく発展することができたのです。

ですが、“まだ見ぬ理想”というのは、現状では実現不能ということを象わします。

結局、人知れず起きた1989年の「宝瓶宮時代のビッグバン」によって、双魚宮時代が終わると海王星の“神通力”は、次第に弱まっていくことになったのです。

唯一の“希望”だったのは、2009年から「双魚宮時代のリバイバル」のディレクションがはじまり、一時的な復活現象が起きたことで、それも来年2023年3月頃には一段落していきます。

では、どのようにしたらよいのかというと、宝瓶宮時代の共鳴星「天王星」によって現実化が可能になってまいります。

なぜなら、海王星は天王星の軌道計算によって発見された第8惑星だからです。


【One Point】 土星外惑星が発見された際のエピソードは、その星の象意に重なります。

意味が分からないというかたがいらっしゃると存じますが、宝瓶宮時代の「共鳴関係論」や、最先端科学の「量子論」などからは、明白な事実で今後は漸次、常識となっていく共鳴作用だからです。









- CafeNote -