古代史の秘密を解くカギ1
2017.07.17
古代を解くカギは、案外と『日本書紀』に隠されています。

ただし、『日本書紀』の内容を100%事実だととらえると、とんでもない大間違いをします。
ですが、まがりなりにも日本の古代史を通貫して記録している“史書”は、『日本書紀』しかありません。

そのため、されど『日本書紀』なのです。

要は、数々の記述のなかから、どれが史実なのか、どれが作り話なのか、それを知るには、次の3つの“カギ”を差し込めば、案外とカンタンに事実がみえてきます。

1、『日本書紀』編纂の立場

2、『古事記』

3、一連の「日本伝」

ここで“一連の「日本伝」”というのは、次のようなものです。

通称「魏志倭人伝」とよばれている『三国志』の“倭人条”をはじめ、『宋書』また『隋書』また『旧唐書』の“倭国伝”や“日本伝”などをまとめて、ここでは「日本伝」と呼んでいます。

ただ、その記述も、結局は大陸の政治状況に付随したものなので、日本に関する記述が全部が正しいと信じて鵜のみにすることは、これまた別の意味で間違います。

次に、同じ時代に奏上された歴史書でありながら、『古事記』と『日本書紀』の内容に違いがあるということは重要です。

両書の違いを、一般に学者は文体が異なることから、『古事記』は国内向けに記されたもので、『日本書紀』は唐(シナ:China)など海外に向けて記されたものという説明をされますが、そこにとどまっていると歴史の事実はみえてきません。

重要なことは、同じ日本の古代史でありながら、内容が大きく異なる部分があることです。
そこに歴史の事実を解くもう一つのカギがあります。

そして、もっとも大きなカギは、「だれ」がどのような「立場」で、どんな「意図」をもって、古事記と異なる『日本書紀』を編纂したのかということです。

むずかしく考える必要はありません。

よく“木を見て森を見ず”といわれることがありますが、先に枝葉末節の解明にこだわると、全体像がみえてきません。

まずは、3つのカギでもって『日本書紀』の“隠された扉”を開けてから、細部をみていけばいいわけです。
すると、案外とカンタンに古代史の事実が見えてきます。

次回から、ひとつずつ3つのカギでもって“古代史の扉”を開けて、事実を解き明かしてまいります。




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